「ぼかし」という言葉をよく耳にしますが、ぼかし効果には様々な種類があります。
この効果をうまく活用するには、特定の技術が求められます。
これらの技術をマスターすることで、ぼかし効果を最大限に引き出すことができます。
前回お話したように、写真におけるぼかしには三つのタイプがあります。
bokeh=魅力的なぼかし効果。この「ぼかし」は特に注目に値します。
blur=写真上で不鮮明な部分で、手ぶれも含まれることがあります。
out of focus=ピントが合っていない状態で、いわゆるピンぼけです。
同じ「ぼかし」という言葉でも、その意味には違いがあります。
今回は特に「bokeh」に焦点を当て、その魅力について詳しく解説します。
また、写真での「ぼかし」は、漫才で使われることもありますが、写真では「ツッコミ」という表現も時々使われます(笑)。
それでは、魅力的なぼかし効果の写真を撮る方法を説明しましょう。主に重要なのは、「ぼかし量の調整」です。
写真で「ぼかし」を作り出すには、次の三つのパラメーターを調整します。
レンズの絞り(F値)
レンズの焦点距離
撮影距離(被写体とカメラの間の距離)
これらの要素を適切に調整することで、求めるぼかし効果を得ることができます。
写真でボケ効果を実現するには、いくつかの要素が影響します。
まず、レンズの開口部が広い(F値が低い)ほど背景のボケが強まります。また、望遠レンズを使うと、広角レンズに比べて背景がより強くボケる効果があります。さらに、被写体に近づくほど背景のボケは顕著になります。これらの特徴から、一眼レフカメラがボケ効果を出しやすいとされる理由が理解できます。一眼レフカメラには以下のような特性があります:
明るいレンズ(低F値)が豊富に選べます。
長い焦点距離のレンズを利用できます。
大きなセンサーサイズにより、長焦点レンズが使いやすくなります。
さらに、センサーサイズが大きいカメラでは、標準レンズの焦点距離も異なります。たとえば、35mmフルサイズカメラでは50mmが標準レンズとされ、APS-Cサイズでは35mmが標準です。大きなセンサーを持つカメラでは、同じ画角を得るためにより長い焦点距離が必要となり、これが強いボケを生む原因になります。
特に大判カメラでは、200mmレンズが標準として使われ、これが強力なボケ効果を生み出す主な理由です。
APS-Cサイズのセンサーは、コンパクトデジタルカメラやスマートフォンよりも大きいため、背景のボケをより容易に実現できます。
背景のボケをコントロールするためには、大口径のレンズや長焦点のレンズを選び、センサーサイズもフルサイズを選ぶことが基本です。ボケを調整する際には、絞り値、焦点距離、撮影距離の3つのパラメーターを主に変更します。デジタルカメラでは、撮影した画像をプレビューしながらこれらのパラメーターを調整することが可能です。
背景のぼけを効果的に使うには、「ピント」が重要です。背景がぼけている中で、はっきりと焦点が合った部分が存在することで、ぼけが際立ちます。ぼけとピントの対比が重要で、この対比が互いの魅力を引き立てる効果を持っています。
この背景ぼけとピントの鮮明な対比は、コメディアンが使う技法に似ています。明確なフォーカスポイントがあることで、ぼけがより際立ちます。
漫才が「ボケ」だけで成り立つでしょうか?実は、「ボケ」の魅力は「ツッコミ」があってこそ引き出されます。
写真においても、この原則は同じです。写真のボケは、鮮明なピントの「鋭いツッコミ」があることで、その美しさが際立ちます。ぼやけただけの写真は、ツッコミがない漫才と同じく魅力に欠けるのです。写真が際立つのは、ボケと鮮明なピントが巧みに組み合わさっているからです。
写真のボケをただ際立たせるだけでなく、ピントの正確さにも気を配ることが重要です。これを実現するには、レンズの絞りを少し絞ると良いでしょう。
多くの人は「ボケは絞り開放が基本」と考えがちですが、焦点距離や撮影距離を考慮して適切なボケを得るためには、絞りを絞るべきです。特に大口径レンズでは、開放時の「収差」が顕著になり、絞ることで画質が向上し、シャープネスが増します。
ボケを管理するための絞りは重要な要素ですが、適切なボケが得られている場合は、ピントの精度にリソースを集中させるべきです。すべては「バランス」にかかっています。
ただ「ぼけ」が得意だとしても、M-1グランプリで優勝するのは難しいです。
同様に、背景がぼやけすぎてピントが合っていない場合、写真コンテストでの上位入賞は難しいでしょう。
ぼけを効果的に使用するためには、ピントがしっかり合ったクリアな主題が重要です。
要するに、ぼけ効果を出すためには絞りを大きく開けたり、長いレンズを使用したり、大きなセンサーサイズを選ぶことが一般的ですが、実際に重要なのは、そのぼけをどのように活かすかです。
そのためには、適切な焦点を合わせる対象が必要です。
ダウンタウンを例にすると、浜ちゃんがいるからこそ彼らは成功しています。ぼけだけでなく、「バランス感覚」が成功の鍵です。
一眼レフカメラを手に入れたら、最初はぼかしに夢中になるかもしれませんが、次に試してみるべきは、少し絞りを絞ることをおすすめします。
ぼけばかりに注目されがちですが、大人のぼけ写真は「ぼかし方」ではなく、どのように「活かすか」を考えることが大切です。