一眼レフカメラを使って素晴らしい写真を撮りたいと考えるのは当然ですが、多くのボタンやダイヤルが初心者には難しく感じられることでしょう。
「設定」と聞くと、「難解な専門用語」とか「面倒な作業」と感じがちです。
特に、写真撮影の技術を身につけようとする初心者にとって、カメラ設定を理解することは大きな挑戦となります。
設定を学ばなくても撮影自体は可能ですが、思い通りの写真を撮るためには、設定技術が非常に重要です。
ですから、撮影技術を向上させたいなら、カメラの設定に対する理解が必須です。
この知識は一眼レフカメラだけでなく、スマートフォンのカメラにも適用できるため、一眼レフカメラを持っていない方にも有益な情報となります。
カメラの設定が重要な理由
プロのフォトグラファーは撮影時に「どの程度の明るさが適切か」「背景のぼかし具合はどうか」「焦点をどこに合わせるか」など、撮影するイメージに合わせて設定を調整します。そのため、撮影技術を向上させるためには、設定の変更能力が必須です。
カメラ設定をマスターすることのメリットは以下の3点です。
・自分が意図する写真を具現化できる。
・特定のシチュエーションでのみ撮影可能な被写体が存在する。
・自分に合ったカメラやレンズを選択できる。
それでは、これらのポイントについて詳しく解説します。
意図した作品を創り出す
プロの写真が魅力的なのは、撮影者の「伝えたいメッセージ」が強く写真に反映されているからです。例えば、子どもを主題にしながらも、海を背景にして子どもをシルエットとして表現し、「この少年はどんな顔をしているのだろうか」と考えさせることができます。また、シャッタースピードを速く設定することで、動きのある写真を作成することが可能です。
カメラ任せの設定では、人物が明るく写るように調整されるため、背景が過度に明るくなってしまうことがあります。これにより、ドラマチックな印象を与えることが困難になる場合があります。ただし、このような写真が劣っているわけではなく、表現方法による違いなのでご理解ください。
特定の撮影設定が必要な被写体
最新のスマートフォンやカメラでは多くのシーンに合わせた撮影設定が可能ですが、それでも特定の被写体は適切な設定変更が必要です。例えば「星空」の撮影は、適切な設定なしでは困難です。写真は光をカメラに取り込むことで被写体を可視化します。星のような微細な光を写す場合、通常見えないほど微弱な光でも捉えられるよう設定を調整して十分な光を集めることが必要です。暗い環境での撮影、例えばオーロラや蛍、または滝の流れや車のライトトレースのように、撮影設定を工夫することでクリエイティブな表現が可能になる被写体も存在します。
適切なカメラとレンズの選択
一眼レフカメラを初めて購入する際には、「レンズキット」や「ダブルズームキット」を選ぶ人が多いです。これらのキットにはカメラ本体と一緒にレンズがセットになっており、コストパフォーマンスの面でお得です。レンズは写真撮影に不可欠なため、これらのセットは特に初心者にはおすすめです。
しかし、特定の写真スタイルを求める場合、例えば背景をぼかしたポートレートを撮りたい場合には、キットに含まれるレンズだけでは限界があります。そのような状況では開放F値の低いレンズを選ぶことが望ましいです。そうすることで、より専門的なニーズに応え、後でレンズを追加購入する必要もなくなります。
表現の幅を広げる主要なカメラ設定
カメラには多くの設定がありますが、「F値」「シャッタースピード」「ISO感度」が特に重要です。これらの設定を適切に調整することで、星の光など目に見えないものを捉えたり、暗い環境での撮影に適応したりすることができます。例えば、オーロラや蛍の撮影、滝や車のライトの動きを表現する際には、これらの設定を工夫することが重要です。
その他のカメラ設定については、別の記事で詳しく説明します。
F値とその役割
F値は、レンズの開口部の大きさを表す数値で、写真の明るさやぼけ感を調節するのに使います。明るい環境ではF値を大きくして光の量を減らし、暗い場所ではF値を小さくして光の量を増やします。これにより、写真のピント範囲や背景のぼけ具合、全体の鮮明さが変化します。たとえば「CANON KISS M2」のようなカメラでは、異なる焦点距離に応じてF値を変更できます。開放F値が低いレンズは高性能で価格も高めですが、豊かな表現が可能です。
シャッタースピードとその重要性
シャッタースピードは、カメラのレンズを通じてイメージセンサーに届く光の露光時間を制御する設定です。この時間を調整することで、写真の明るさや動きの表現が変わります。例えば、スポーツの速い動きを捉えるためには高速のシャッタースピードを用いて被写体を凍結させることができます。一方、滝のような流れる水を滑らかに表現したい場合は、シャッタースピードを遅く設定します。
暗い環境での撮影を支援するISO感度
ISO感度は、カメラがどれだけ光を感知するかを決める数値で、暗い場所での撮影時にISO感度を上げると、カメラは少ない光でも明るい写真を撮ることができます。これにより、シャッタースピードを速く保ちつつ手ブレを防ぎ、暗い場所でもクリアな写真が撮れます。ISO感度を適切に設定することは、さまざまな環境で最適な写真を撮る手助けとなりますが、ISO感度を上げることで発生する画質の劣化、いわゆる「ノイズ」も考慮する必要があります。最新のカメラや編集ソフトではノイズを軽減する機能があり、画質を保ちながら暗い場所でも撮影できます。
露出とその調整
露出、つまり写真の明るさは「F値」「シャッタースピード」「ISO感度」によって決まります。これらの要素を理解し、適切に設定することが写真撮影の基本です。撮影した写真が暗い場合は、「F値」を下げる、シャッタースピードを長くする、またはISO感度を上げることで調整が可能です。これらの設定を変更して写真の明るさを調整することを「露出補正」と呼び、カメラが自動で算出する標準の明るさを「適正露出」とします。カメラの自動モードでは、これらの設定を自動で調整しますが、実際の見た目の明るさと異なる場合があります。そのような時は、露出設定を手動で調整し、目指す明るさに変更することが可能です。
写真撮影の進化とカメラ選び
写真撮影の技術が進むにつれて、どのカメラやレンズが最適かの知識も深まるでしょう。
しかし、カメラの設定に不慣れな初心者にとっては、全ての設定を自分で行うことは難しい場合があります。設定を調整している間に、撮影のチャンスを逃すこともあるかもしれません。
そのため、最初は一つの設定だけを手動で調整し、他はカメラに任せた撮影を試してみることをお勧めします。
詳しい内容は別の記事で解説しますが、たとえば「絞り優先モード」を使えば、絞りだけを自分で設定し、表現の幅を広げることができます。また、「シャッタースピード優先モード」を使えば、シャッタースピードのみを調整することが可能です。
カメラがない方でも、スマートフォンで露出を調整するだけで、自分好みの写真を撮ることができます。
「F値」、「シャッタースピード」、「ISO感度」についてさらに学びたい方は、他の記事も参照してください。
この記事が設定の理解に役立ち、実際に試してみるきっかけとなることを願っています。