カメラレンズには大きく分けて、単焦点レンズとズームレンズの二種類があります。
多くのカメラにはズームレンズが標準装備されており、その使いやすさと便利さから「初心者に適した初めてのレンズ」と考えられがちです。
一方で、単焦点レンズは「高度な撮影が可能なレンズ」とされ、その扱いが難しく不便な側面から「経験者向け」と位置付けられることが多いです。
フォトグラファーの間では、「ズームレンズから単焦点レンズへ」と進むのが一般的なステップとなっています。この記事では、ズームレンズの特性と使い方を解説し、なぜ多くの人がズームレンズから単焦点レンズに移行するのかを深掘りします。
ズームレンズの利点は、その「焦点距離が可変であること」です。これに対し、単焦点レンズは焦点距離が固定されています。ズームレンズはその便利さで知られていますが、単焦点レンズへの移行には、一見すると矛盾するような不便さが伴いますが、それには重要な意義があります。
ズームレンズの利便性には、以下のような具体的なメリットがあります。
レンズの交換が不要であるため、撮影中の手間が省けます。
複数のレンズを持ち運ぶ必要が減るため、荷物が軽減されます。
単焦点レンズでは得られない、多様な焦点距離を一つのレンズでカバーできます。
特に、単焦点レンズを使うフォトグラファーはしばしばレンズ交換の手間を感じることがあります。レンズを交換することは撮影の流れを妨げ、シャッターチャンスを逃すリスクもありますし、カメラ内にホコリが入る原因にもなりかねません。
これに対し、ズームレンズを使用すれば、少ない数のレンズで済み、撮影機材を軽くコンパクトにすることができます。写真を撮りに来たわけであり、荷物を運ぶために来たのではありません。
また、多くの写真愛好家は特定の焦点距離を好んで使用しますが、例えば35mmから60mmまでのレンズを細かく集めることは一般的ではなく、すべてを同時に持ち運ぶことも稀です。それに対してズームレンズは、これらの焦点距離を一本でカバーでき、37mmや62mmのような微妙な調整も可能です。たとえば、50mmが少し短く感じる場合や85mmが長すぎると感じる場合でも、ズームレンズならば理想的な焦点距離に簡単に調整できます。この柔軟性を考慮すると、一本のズームレンズが多数の単焦点レンズに匹敵することもあり得ます。
もちろん、ズームレンズは画質の面で欠点もあります。レンズ枚数が多いため収差の補正が難しく、単焦点レンズに比べると画質が劣る場合があります。しかし、技術の進歩により、ほとんどのズームレンズで十分な画質を確保しています。現在では、画質は個人の主観に左右されるため、予算に応じて満足できるズームレンズを選ぶ人も多いです。
ズームレンズの使用には、撮影位置や焦点距離、シャッタータイミングを慎重に選ぶ本来の手法と、位置を決めた後に適切な焦点距離をズームリングで調整して撮影する便利な方法があります。特に、ズームレンズを使った便利で効率的な撮影方法は初心者におすすめです。
ズームレンズの使いやすさについて(初心者向け)
ズームレンズを使うと、ズームリングを回すだけでファインダー内の画角が変わり、さまざまなシーンを簡単に捉えることができます。気に入った構図をズームリングを回しながら選ぶ方法もあります。
理想の写真を頭で描いてから撮影するのがベストですが、常に明確なイメージがあるわけではありません。そういう時、ズームリングを回しながら現実のシーンを探ることができます。
一般的に、ズームレンズは初心者向け、単焦点レンズは上級者向けとされています。特に初心者は明確なイメージを持ちにくいため、ズームレンズで様々な構図を試すことが有効です。上級者になると、具体的な構図を求め、画質にもこだわりが生まれ、適したレンズを選ぶようになります。その結果、より多くの場合で単焦点レンズが選ばれるようになります。
ズームレンズの「簡単・便利」さについてご理解いただけたと思います。カメラの世界では、一眼レフからミラーレスへの移行が進んでいます。これもミラーレスがより「簡単・便利」であるためです。同様に、ズームレンズも「簡単・便利」を実現するために開発されました。
しかし、多くの場合、写真家はズームレンズから単焦点レンズへと移行します。これは、写真の本質が単に「簡単・便利」であるわけではないからです。
写真の本質はそのクオリティにあり、レンズ、センサー、画像処理エンジンが最も影響を与える要素です。これらは単なる「簡単・便利」を超えるもので、その基準は「クオリティ」です。クオリティを追求すると、必然的に「簡単さや便利さ」を超えるものを求めるようになります。その結果、多くの人々はズームレンズから単焦点レンズへと移行するのです。
もちろん、個々の写真家がズームレンズを選ぶこともありますが、多くの人々が単焦点レンズを選ぶ理由は、写真芸術への情熱によるものです。
写真に対する「もっと良くしたい」「こうあるべきだ」という強い思いは、「便利さや簡単さ」だけでなく、「予算の制限」さえも超えることがあります。
多くの方が、最初の予算を超えて高価なレンズを購入する経験があるでしょう。
その勢いは時に恐ろしいほどです。
私たちが写真を撮る理由は、「便利だから」や「簡単だから」ではなく、「写真を撮りたい」という情熱に基づいています。
これは当たり前のことかもしれませんが、この事実に気付き、写真そのものと真剣に向き合うようになると、使用するレンズがズームレンズから単焦点レンズへ、またはより高性能なズームレンズへと変わることがあります。
今回はズームレンズの特徴と使い方を解説し、同時に単焦点レンズへの移行がどういう意味を持つのかも説明しました。
まず、ズームレンズの最大の特徴はその焦点距離が調整可能であることです。
ズームレンズの利点は、レンズを交換する必要がなく、持ち運ぶレンズの数を減らせること、そして単焦点レンズでは得られない中間的な焦点距離を使用できることです。
しかし、デメリットとしては、単焦点レンズと比較して画質が劣るという点があります。
ズームレンズの使用方法には二つのアプローチがあります。一つは、撮影したい構図が事前に明確に決まっている場合で、適切な位置からズームリングを調整して最適な焦点距離を選ぶ方法です。もう一つは、撮りたい対象にレンズを向けてズーミングを調整し、気に入ったものを撮影する方法です。
写真の本質に迫るにつれて、「簡単・便利」から「写真自体のクオリティ」へと焦点が移り、ズームレンズから単焦点レンズへの移行が進みます。