写真撮影では、多くの人が一般的な構図に頼りがちです。たとえば、「ルール・オブ・サーズ(三分割法)」や「リーディング・ライン(導線構図)」、「センターフレーム(中央構図)」といった方法があります。これらの構図を利用すると、誰でも比較的高いクオリティの写真を撮影できることでしょう。
しかし、これらの方法にのみ依存していると、写真が型にはまったものになってしまうことを懸念する人も多いです。
初心者を超えたら、次は型にはまらない撮影を目指すべきです。特に構図に焦点を当て、クリエイティブな試みをすることが大切です。配置によって、視覚的にも魅力的な写真を創出できます。
同じシーンを同じカメラで撮影しても、撮影者によって異なる写真がどうして生まれるのでしょうか?
写真とは、本質的に四角いフレームで定義されます。通常、人間の視界は広範囲にわたりますが、写真はこの広い視界を四角い窓で限定し切り取ることで、見える範囲を絞ります。このため、同じ場面でも撮影者によって異なる「切り取り方」をすることができ、それが写真に個性を与えるのです。
例えば、画面中の被写体とその背景の物体との間の距離、大きさ、角度など、数多くの要素が写真の差異を生み出します。
写真撮影は、このシーンをどのように四角く切り取るかという問いに対する個々の回答と言えます。
そして、その「切り取り方」が「構図」を形作り、これは撮影者の視覚的なビジョンを反映します。構図は単なる配置ではなく、撮影者の持つビジョンそのものなのです。
この話は少し複雑に感じられるかもしれませんが、自分の部屋がきれいに整頓されているかを考えてみましょう。これが日々の生活の「構図」とつながります。
部屋の整理状態はその人の価値観を反映しています。整頓された空間は、「清潔を保ちたい」という意志を示し、乱雑な部屋は「少々の乱れも気にならない」という心理を表しています。たとえ「片付けたいが時間がない」という言い訳があるかもしれませんが、写真撮影においてはそのような言い訳は通用しません。
例えば、カメラの角度を少し変える、少し右に移動する、低い位置から撮影するなど、簡単な調整一つで写真の印象が大きく変わります。乱雑な構図は手抜きの撮影だと思われがちです。
しかし、小さな調整が写真を劇的に改善することも事実です。部屋の片付けよりもはるかに簡単に、写真の中の世界を美しく演出できます。適切なフレーミングと画面内の整理だけで、あなたのビジョンを映し出す世界を創り出すことができます。
撮影技術についても具体的に触れてみましょう。まずは肉眼で周囲をしっかり観察し、その後カメラの位置やレンズを選びます。ファインダーを通して最適な画面を構成し、最良のタイミングでシャッターを切ることが重要です。
このプロセスは、ただファインダーを覗いて撮影を始めるのではなく、まず周囲をしっかりと観察し、最適な撮影ポイントを見つけることから始めます。そうすることで、見逃してしまいがちな素晴らしいシーンを捉えることができます。
最初に適切なレンズを選び、カメラを撮影モードに設定しましょう。撮影する前には、頭の中で写真のイメージをはっきり描くことが大切です。これは撮影行動全体の指針となるビジョンであり、このビジョンがなければ撮った写真もぼんやりとしてしまいがちですし、撮影の方向性も見えにくくなります。
レンズを選ぶ際は、そのレンズで撮影した写真がどのように見えるかを事前に理解しておくことが必要です。これには経験が必要ですが、構図を工夫する努力をしている人は、自分のレンズの特性をよく理解しています。経験がまだ浅い方は、多くの撮影を通じてレンズの特徴を把握してください。
次に、ファインダーを通してフレームを調整し、最適なタイミングでシャッターを押します。特にスナップ写真では、常に変わる環境の中で最良の瞬間を捉えるタイミングが重要です。
撮影は自分の「ビジョン」に基づいて行います。このビジョンは個人の美的感覚に由来するもので、一般的なパターンには当てはまりません。パターンに囚われすぎると、創造性を失い、作業のように感じることもあります。自分自身の感覚に従って撮影すれば、魅力的な写真が生まれる可能性があります。
しかし、自分だけのビジョンをどう見つけるかが問題です。写真撮影が真に楽しいものになるのは、この挑戦から始まります。自分が自然体でいられる分野を見つけ、それを撮影に生かしてみましょう。例えば、服を選ぶ感覚でカメラアングルを決めたり、部屋をコーディネートするようにフレームを整えるのです。これが意外にも簡単であることに気づくかもしれません。結局のところ、全ては考え方によります。難しく考えれば難しくなりますが、シンプルに考えればそれに応じて簡単になります。
「それは簡単だと思うかもしれませんが、実際のところそう簡単ではありません。
写真撮影では、楽しむことが最も重要です。
「構図」は写真の中で最もクリエイティブで楽しい要素の一つです。
そのような「構図」について過度に複雑に考えたり、単に既存のパターンに従うのは、大きな損失となります。」