現代のカメラは非常に高機能で、露出や焦点の調整が自動モードで簡単にできますが、写真の「構図」は撮影者のセンスが求められる部分です。
自動構図機能はまだ発展途上で、カメラに完全に構図を依存する日は遠いでしょう。撮影者が創造的な判断をしなくなることは考えにくいです。
写真撮影の三大要素?露出、焦点、そして構図?の中でも、特に構図は非常に重要です。この要素をマスターするには、既存のパターンに当てはめるだけでなく、創造性を発揮することが重要です。
写真構図の「パターン」には様々な種類があります:
・三分割構図
・四分割構図
・放射構図
・対角構図
・三角構図
・日の丸構図
これらは構図の基本形ですが、具体的な内容については調べると良いでしょう。
一般的に、これらのパターンを使用することが写真構図の基本とされていますが、それぞれのパターンの機能を理解することは、画面構成の技術を磨くのに役立ちます。
構図の考え方はシンプルです。たとえば、人物を撮影する場合、その位置(中央、右、左)や、風景を撮影する際の水平線の位置など、撮影者の意図によって画像の印象が変わります。
しかし、構図はただの「画面配置」に過ぎず、どのように撮影しても結局は写真になります。それでも、左右どちらかに人物を配置すると、写真の印象が大きく変わることがあります。時にはそれが写真コンテストでの成否を分けることもあります。
最終的に、構図のパターンは「より良く見せる」ための一般的な手法であり、それが心地よく見える理由は、人が整然とした構成を心地よく感じる生理的な反応に基づいています。
構図のパターンは、音楽のリズムや顔の均整性と同様に、人間が自然と心地よさを感じる要素を利用しています。
撮影におけるパターンは便利で、予測可能な結果を提供しますが、それに頼りすぎると写真が単なる手続きに陥り、趣味としての撮影が仕事のような感覚に変わってしまうことがあります。
基本技術を知ることは写真で重要ですが、パターンに固執すると創造性が制限され、撮影がただの義務になり、自ら撮る喜びが失われることがあります。
主なデメリットは、楽しむことが作業化し、写真が制約されることです。初心者にはパターンに従うことが有益かもしれませんが、その新鮮さが消えた後も続けていると、それは単なる作業になります。
問題解決に向けての一歩
写真撮影は本来自由なものであるべきですが、パターンに基づく安定したアプローチも一定の安心感を提供します。これは定期的な仕事とフリーランスの違いに似ています。
パターンを用いることは予定通りの結果を得ることに似ていますが、自由に撮影することでユニークな成果を求めるのが理想です。自由と安心感はトレードオフの関係にあります。
自由でありつつも安心感を持つ方法
撮影では、パターンを知ることは重要ですが、それに囚われず撮影することが鍵です。三分割構図や日の丸構図などの基本的な知識を持つことは有益ですが、それにこだわる必要はありません。
多様な写真を観ることでさまざまな構図のアイデアを蓄えることができ、これが撮影時のひらめきにつながります。重要なのは、撮影時にこれらの構図を意識せず、インスピレーションと表現に集中することです。
「写真表現の真髄」
写真撮影において重点を置くべきは、写真が伝えたいメッセージです。技術的な要素に過度に囚われると、本質的な部分への注力が難しくなります。日常の経験が、重要な瞬間に生きてくるのです。十分な準備があれば、撮影時には自然と適切な反応ができるでしょう。
「写真の意図」に焦点を当てることで、適切な構図が自然と形成されます。これは既存の型にはまらない、経験から引き出される構図です。
写真の楽しみは、素晴らしい作品を創出した時にあります。「これだ!」と感じる瞬間に撮影された写真は、比類のない喜びをもたらします。型にはまった「撮らされた絵」とは異なり、得がたい感覚を味わうことができます。
「本来の構図」に対する考え方は次のようになります。
まず、日常から構図や画面構成に慣れ親しむことが重要です。しかし、撮影時にはこれを忘れ、表現に集中することが肝心です。人間は二つのことに同時に集中することはできません。撮影時に表現に没頭すれば、自然と型は忘れ去られます。逆に型に囚われてしまうと、表現がおろそかになってしまいます。
我々が求めるのは「いい構図」よりも「いい写真」です。重要なのは、何に焦点を当てるかを見極め、そこに集中することです。これが素晴らしい写真への鍵となります。
したがって、優れた写真を撮るためには、「いい構図」を意識から解放することが効果的です。適切な構図は、忘れることによって自然に、無理なく加わります。
日頃から多様な写真を見て、様々な撮り方や構図を学ぶことをおすすめします。写真には自由があり、その自由の中から新しいアイデアや視点が生まれます。この自由に気付くことが、視野を広げる手助けとなります。
結局のところ、型とは「一般化された方法」に過ぎません。これに従えば基本的に間違いはないものの、それは「完成度が高く、瑕疵のない写真」、つまり「定型的な作品」であると言えます。
一方、表現を重視した写真は「文学的な写真」と呼べます。文法を逸脱しても、異例の言葉の使用でも、そこに「表現」があればそれで良いのです。表現が完結しているか、そしてそれが適切に伝わっているかが重要です。
表現を重視した写真には何らかの構成や秩序が存在しますが、表現が自然に秩序を生み出し、求められる構図は与えられたものではなく、自発的に形成されるものです。これが「本来の構図」であり、たとえそれが既存のパターンに似ていても、自然発生的なものであれば本質的に異なります。
最終的には、構図を意識せずに自然に生じるこれらの要素が、写真を「表現」ではなく、「構図見本」から解放します。そのためには、構図を意識から解放することが、撮影技術を向上させる最良の方法です。